安全安心な環境がある企業とは
みなさん、こんにちは。フューチャーで人事責任者をしている稲垣です。
以前「プロフェッショナルに選ばれ続けるために必要な3つのこと」という記事を書かせていただきましたが、今回はそのうちのひとつである「安全安心な環境(チャレンジに専念できる)」について説明します。
一寸横は崖?
ある人から「ビジネスは崖の淵を歩き続けるようなものだ」と聞いたことがあります。崖の底からは常に色々な誘惑が手招きしており、その崖に引きずり込まれないようにしながら、常に崖の淵を歩き続けなくてはならない、という趣旨でした。
崖の種類はビジネス限定ではないので、人生全般にあてはまる言葉なのだと思います。私は過去アルバイトをしている時、残念ながら誘惑に負けてそのような崖に落ちてしまった人を何人か見ていました。初めてオレオレ詐欺の話を聞いた時も、私も含めて多くの人は「なぜそんなのに騙されるのだろうか?」と不思議に思ったのではないでしょうか。ニュース番組を通して耳にするこの手の話は、第一印象で感じた以上の余韻を残すことなく「ああ、自分には関係のないことだ」として過ぎ去っていくものです。ただ、私としてはそういったダイジェストの裏には、きっと崖に引きずり込まれてしまった理由があったんだろうな・・と推測してしまいます。
崖の存在を知ることで自分と周囲を守る
人がとても誘惑に弱いことは既に歴史で証明されています。でも、どこかで自分だけは大丈夫、自分が主人公である物語の中では、誘惑に負けるシナリオなんてある筈がないと思い込んでしまうのか、一瞬の隙をついて崖に落ちてしまうことも、また多くの歴史で証明されていますよね。
職責上、いわゆる労務トラブルを担当する際には、コンプライアンスを起因としたものを扱うこともあります。解決までは相応の労力をかけて対応しています。ダイジェストだけで判断するのではなく、落ちてしまった崖が、その人からはどのように見えていたのか?なぜ、普段であれば落ちなかったはずの崖に落ちてしまったのか?もしくはいつでも落ちる可能性があったのか?を確認し、予防に活かすようにしています。
なぜなら、そういったことは決して他人事ではないからです。ある瞬間を切り取って白黒をつけなくてはならない時もありますが、それ以上に人は誘惑に弱いので、継続的に教育や啓蒙をすることで、どんな時でも崖の存在を認識できるようにして社員全員を守っていかなくてはなりません。
フューチャーではコンプライアンスに対する教育や違反に対する対応は厳しいですが、根底には、社員全員が加害者にも被害者にもなって欲しくないという思いがあり、そういったネガティブな要素を減らしていくことで、プロフェッショナルが本業に専念できるような環境を作りたいと思っています。コンプライアンス=罰則というようなイメージは強いと思われがちですが、こういった取り組みが社員やお客様も含めて全員を守るために実施していることがもっと伝わって欲しいと思います。
成長に向けては自己開示が必要不可欠
安心安全な環境というと、コンプライアンスのようにマイナスを減らす取り組みがフォーカスされがちだと思いますが、同時にプラスを増やす取り組みも重要なので、それについても説明したいと思います。
フューチャーは難題を解決することを仕事にしています。難題であるがゆえに、最終的に試合には勝っても、ひとつひとつの打席を見ていけば、全打者全打席ホームランというわけにはいかず、絶好のチャンスに空振り三振で悔しがることも多くあります。これはプロジェクト単位でもそうですし、個人単位で見てもある話です。そのため、そこから何を学び、次の成長や成功に繋げていくのかは極めて重要な命題です。
成長には自己開示が必要であること、特に失敗から学ぶときには、負の自己開示が必要不可欠であることは良く言われています。そのため安心して「負の自己開示」を促す仕組みがあるかどうかが、企業の競争力を高めることにつながります。
自己開示のための仕組み
負の自己開示だけするのは気が滅入ってしまうので、通常は正負あわせた自己開示を促す仕組みでデザインされると思います。フューチャーでもそれは同じです。自己開示をするきっかけとして一番分かりやすく思いつくのが振り返りだと思いますが、フューチャーでは、プロジェクト単位、個人単位で振り返る機会を作っています。
プロジェクト単位の振り返りで一番大きなものは、年度末に行われるBest Project of the Year(BPY)です。BPYとは1年でもっとも優秀なプロジェクトを全社で選びその努力と栄誉をたたえるフューチャーの全社イベントです。難題に取り組んでいる瞬間はつらいことが多いものですが、年度末のタイミングで振り返ると、みんなで力をあわせて登ってきた山の高さを見て、自分たちが確かな存在であることを感じ取れますし、だからこそ、道中にできなかったことへの真摯な反省にも目が向かいます。
個人単位では、年度末に全員が個人プレゼンテーションを行い、一年の成果を発表します。これは、360度評価とプレゼン終了後のフィードバックから構成されるので、自己開示に加えて「他者から見た自分」を確認する場にもなっています。自分では労力をかけずにさらっとやっていたことが周囲からはとても評価が高く、改めて自分の魅力に気が付いたり、自分でも見えていなかった弱点を指摘されて落ち込んだりもするのですが、色々な角度からとても良く自分自身を知ることができるイベントになっています。
プロフェッショナルが成長するための仕掛け
そして何より重要なのが「プロジェクト制&オープンアサイン」という仕掛けです。仕事をしていると色々なタイミングで、「こうすればよかった」「次はこうしよう」といったアイデアが生まれてくるものですが、それをチャレンジする場所がないと成長には全くつながりません。
プロジェクトでの役割が終わってリリースされると部門に関係なく現在進行中のプロジェクトによるオープンアサインとなります。人によって、旧知の間柄の中で貢献したいという人もいれば、新しい人間関係の中でゼロからチャレンジしたいという人もいるので、各々が振り返りで得た学びをチャレンジできる最適の場所を提供できるようにしています。
プロフェッショナルであれば、今より高い目標に向かってチャレンジしていくので、時にはチャレンジに失敗して成果がでない場合もあります。その場合でも、本人の意向を加味した上で次のプロジェクトにアサインし、改めてチャレンジできるように柔軟な対応をしています。そのためにも、プロジェクト制であること、オープンアサインであることは、プロフェッショナルにとって常に最適な選択肢を提示するための重要な仕掛けになっていると思います。
以上、安心安全な環境を提供するために、マイナスをゼロにするためのコンプライアンスに対する考え方と、ゼロをプラスにするための取り組みについて紹介しました。フューチャーではこれらの環境をより高めていくことで、プロフェッショナルが安心して本業に専念できる、チャレンジできる会社にしていきたいと思います。