「メンバーの成長を願うリーダー」を支える成長支援会議

グループ人材戦略室で人材育成/組織開発を担当している赤坂です。

今回は、HR内で実施している「成長支援会議」(※)という取り組みを紹介します。フューチャーには成長を促す仕組みがあることを知ってもらえると嬉しいです。

(※)成長支援会議は『シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング』で紹介されている「人材ミーティング」という取り組みを参考にしています。
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成長支援会議の目的は、メンバーの成長促進です。ところが実際にやってみると、その効果はメンバー(部下)の成長にとどまらず、リーダー(上司)を助ける取り組みであることがわかりました。今回は、メンバーの成長を願うリーダーに向けて、成長支援会議を紹介します。

メンバーには成長を、悩めるリーダーには支えを

この記事を読んでいる方の中には、所属する会社でリーダー(上司)として1on1を実施している方も多いのではないでしょうか。

1on1を知らない方もいると思うので、1on1について簡単に説明します。1on1は文字通り「1対1で話し合う」ことなのですが、フューチャーでは以下のように行っています。

  • 本人の成長を促すことが目的

  • 評価ライン(評価者と被評価者)で定期的に実施する

  • 進捗や課題など「仕事」についてではなく、キャリアやフィードバックなど「本人」について話す

1on1はすでに市民権を得ていると思いますが、実際のところリーダーのみなさんは効果を実感していますか?

「1on1の効果を実感できない」という場合、真っ先に思い浮かぶのは、例えばコーチング研修のように、「1on1の場でのリーダーの振る舞いを改善する」というアプローチです。有効なアプローチではあるのですが、別の打ち手はないかと考えていました。

そこでヒントになったのが、私が講師を担当している「OJTトレーナー向け研修」です。OJTトレーナー向け研修では、新人のOJTを担当するトレーナーに向けて、新人との接し方について説明します。研修の中では、講師である私から説明するのに加えて、OJTトレーナー同士でグループディスカッションをしてもらいます。そうすると、OJTトレーナーからは本当にたくさんの成功や失敗や工夫が出てきます。受講後のアンケートでは、「他の参加者がどんなことをやっているのかを知れて参考になった」「自分だけが悩んでいるのではなく、みな似たような悩みを抱えながらやっていることがわかって勇気がでた」といったコメントがあり、同じ立場であるOJTトレーナー同士で話し合うことを有意義に捉えていることがよくわかります。「育てる側が集まって、自らの経験を話す」ということの効果を実感した瞬間です。

「育てる側が集まって、自らの経験を話す」形式を取り入れたのが、成長支援会議です。「1on1の場でのリーダーの振る舞い」という個人のスキルに着目するのではなく、リーダー陣が協調してメンバーの育成を考えるアプローチです。成長支援会議を実施後、リーダーからはこんな声が聞こえてきました。

「改めてメンバーのことをよく考えるようになった」
「メンバーの違った一面が見えた」
「次の1on1ではこんなふうに話してみよう、というイメージが湧いた」
「1on1はやっていたけど、自分の考えに固執していたことに気づいた」 

こんなことを感じることができれば、1on1の効果を実感できていないリーダーの方にとっても1on1の時間がより有意義なものになるのではないでしょうか。次からは成長支援会議の中身について具体的に紹介します。

成長支援会議の進め方と効果

まず、HRでの進め方を紹介します。HRには5つのチームがあり、全体で約40人のメンバーが所属しています。各チームリーダーは、メンバーと定期的に1on1を行っています。 1on1では、チームリーダーからの期待やフィードバックを伝えたり、今後の方向性を一緒に考え、メンバーが将来像を描きながら前向きに働けるようにコミュニケーションを取っています。

以前、HR責任者の稲垣が「優秀なプロフェッショナルに選ばれ続けるための3要件」を紹介しましたが、1on1はその中の「環境優位性(チャンスに恵まれる)」に寄与します。ここでは、「成長のチャンスに恵まれる」ということですね。

優秀なプロフェッショナルに選ばれ続けるための3要件

この1on1をより良い場にするために、2021年12月から隔週1時間で実施しているのが成長支援会議です。 成長支援会議は、対象のメンバーをひとり決めて、そのメンバーについてチームリーダー全員で話し合います。メンバー本人は参加しません。メンバーと普段1on1をしているチームリーダーはもちろん、他チームのリーダーも含めて話し合うところが特徴です。

会議は1回1時間です。対象メンバーのチームリーダーからメンバーの現状(目標、評価、普段フィードバックしている内容など)について共有します。その後は、メンバーの強みを活かすために周囲がどんな接し方をしたらよいか、どんな役割を担ってもらうとよいかを、チームリーダー全員で話し合います。「メンバーひとりにつき1時間も話すことあるかな?」と思うかもしれませんが、やってみると時間はあっという間に過ぎます。

成長支援会議が終わったときに、リーダーにこんな変化があれば成功です。

  • メンバーの違った一面(今の仕事ぶり、将来の目標、強み)に気づく

  • 今後の1on1で話す/聞くポイントがみつかる

  • 短期(数ヶ月)や中長期(1~3年)で、メンバーにチャレンジしてほしい仕事が見えてくる

成長支援会議ではどんなことを話すのか?

成長支援会議では「どんなことを話すのか?」というファシリテーションが重要です。これは「メンバーひとりにつき1時間も話すことあるかな?」という疑問に対する答えでもあります。

私がファシリテーションするときには、「メンバーが見ている景色を想像してみてください」という言い方をします。「メンバーについて話す」と、ついついリーダー目線で「○○ができるようにならない」「○○で困っている」というリーダーによる見立てを話してしまいます。

もちろんリーダーによる見立ても話すのですが、それ以上に、メンバーが見ている景色抱いている思いを想像することに重きをおきます。そのために、「メンバーの座席に座ってみると、誰の顔が見えます?」「どんな仕事のとき、メンバーはノリノリで取り組んでいますか?」といった問いかけをすることもあります。

メンバーが見ている景色を想像したときに、リーダーが感じることは「メンバーが普段どんなことを考えて仕事しているのか、実はよくわかっていなかった」ということです。普段の仕事の場面や、定期的な1on1でコミュニケーションは取っていたはずだけど、いざメンバーの視点に立ってみようとしても、なかなか難しくてできていないことに、リーダー自身が気づきます。ここから、「改めてメンバーのことをよく考えることになった」「次の1on1ではこんなふうに話してみよう、というイメージが湧いた」という声につながっていきます。

このように、ひとりのメンバーについてかなり踏み込んで話をしていると、1時間というのはあっという間です。

「メンバーの成長」を「みんなで考える」ために

成長支援会議をやってみて感じたのは、「1on1はメンバーの成長につながるけれども、一方でリーダーを孤立させてしまう可能性がある」ということです。

「1on1はメンバーの成長のために必要不可欠」であることは、チームリーダー全員が感じています。ただ、各メンバーの特徴にあわせて目標設定をしたりチャレンジの機会をつくろうとすると、自分が持っている引き出しだけだと行き詰まるときがあります。前述の「1on1はやっていたけど、自分の考えに固執していたことに気づいた」 というリーダーの声はそれを端的に表しています。

フューチャーでは多様なキャリアを応援しています。メンバーの進みたい方向について、リーダー自身の経験によって可能性を狭めないためにも、「みんなで考える」アプローチが必要です。リモートワークになる前は、何気ない雑談のなかで、チームリーダー同士がメンバー育成についての悩み相談をしていたように思います。それがメンバーの成長を「みんなで考える」ことにつながっていました。そういった、「リーダーが、チームをまたいでメンバーの育成について一緒に考える」機会を意図的に作り出したのが成長支援会議です。メンバーの成長をリーダー個人に任せきりにするのではなく、会社全体で考えていくことが必要だと思います。

成長支援会議、いかがでしたでしょうか。

私は人材育成/組織開発に携わる身として、「優秀なプロフェッショナルに選ばれ続けるための3要件」を実現するためには、リーダーとメンバーの対話、すなわち、「個人と個人が腹を割って話す・聞くというプロセス」が必要不可欠だと強く思っています。そのプロセスを回す場が1on1です。

一方で1on1には、「リーダーとメンバーの対話が密室に隠れて周囲から見えなくなってしまう」という避けられない問題があります。「個人と個人が腹を割って話す・聞く場」という1on1の良さを残しつつ、「メンバーの成長についてみんなで考える」という開かれた場としての成長支援会議を取り入れることで、メンバーはもちろんのこと、リーダーの成長にとっても1on1を有意義な時間にしていきたいです。

2022年8月現在、「人材育成・組織開発担当」ポジションの募集しています。ご興味がおありの方は気軽にお問い合わせください。

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