見出し画像

新聞業界を変革した話とこれから

はじめまして。テクノロジーイノベーショングループで、メディア事業の責任者を務めている山上 燦(やまがみ さん)です。本記事では、当社にとって全くの未知の領域であった新聞業界にチャレンジし変革を成し遂げた話と、一風変わった業界のビジネスモデルや仕事について紹介します。


未知のレガシー産業、新聞業界へのチャレンジ

みなさん、新聞を読んでいますか?実は世界のトップ20紙の中に日本の有名5紙が上位に入ったことがあるほど、日本は新聞大国といわれています。(※)しかしスマホアプリやニュースメディアの台頭により新聞離れは加速しているほか、働き手も不足している等、新聞業界は様々な側面で深刻な問題を抱えています。多くの人がニュースは見ても、どこの新聞社の記事なのかは意識しない時代になってきています。

こういった現状がある中で、改革を望むとある新聞社とタッグを組むことになりました。この業界を変えられたらなにかあるんじゃないかというワクワクと、ジャーナリズムを途絶えさせないという使命感を私は持ち、プロジェクトの推進に取り組んできました。テーマは「破壊と創造」。新聞社のビジネス、働き方(意識)、道具(IT)を抜本的に改革していく、まさに本質的なDXを愚直に推進し、スタートから3年かけて新システムを構築しました。ここからは具体的にどのような変革を実現したのかをご説明します。

世界新聞発行ランキング、読売・朝日が1位と2位を独占するも、「注釈」で「押し紙」に言及、NYTの著しい台頭

変えたことその1「新聞社の道具~基幹システムを変える~」

新システム導入前は、記者や編集者たちは既存システムがありながらもシステムを利用せずに紙とペンで多くの業務を行っていました。ヒアリングを進めると、既存システムのレスポンスや検索性に課題があるとわかりました。新システムではこの根本課題を解決すべく、UI/UXの追求操作レスポンスにこだわって設計・実装を行うことで、作業しやすいシステムを実現しています。またモバイルにも対応をしているので、いつでもどこでも業務ができるようになり、業務の効率化を実現しました

変えたことその2「新聞社の働き方~働く人の意識を変える~」

変革前の新聞社の働き方では、新聞紙面の締切時間を強く意識していました。「締切時間に間に合うように書く」という意識だと、締切時間から逆算して動き出しますよね。これにより業務ピークが全体的に遅くなり、その記事が最もよく読まれる時間帯には記事がまだできていない状態でした。締切時間という定点ではなく、コンテンツの価値を考慮して、その記事が最も読まれる時間帯をめがけて記事1本1本の完成タイミングをコントロールするように顧客の意識を変えていく、そしてシステムもそれを先導するような機能を開発しました。

変えたことその3「新聞社のビジネス~デジタル部門を変える~」

これからの新聞メディアはデジタルメディアが成長分野です。ここに力を入れる必要がありますが、デジタル部門は人数が少なく、オフィスの端っこにひっそりと席を占めているという背景がありました。これに対して、編集フロアの中心にデジタル部門を位置づけたり、編集会議の内容を変えたりする取り組みを通して、デジタル部門を現場の中心に据えるという変革を行いました。ITによる解決だけでなく、業務のやり方や意識を変えるアプローチによって、編集部門全体がデジタル配信を意識するようになり、配信スピードの向上や配信量の増加という結果に繋がりました。

新聞業界の未来に向けた新たな取り組み

我々が新聞業界という未知の領域に踏み出したのは、とある新聞社から基幹システムの構築に関するご相談をいただき、新たな基幹システムを構築したことがきっかけでした。そもそも新聞社にとっては、コンテンツの価値とそれをどう活用するかが競争力の源泉です。どの新聞社も業務やデータの流れは似通っているため、業務の心臓部とも言える基幹システムは1つのものをみんなで利用する方が良いという考え方に立ち、非競争領域に位置付けられています。そこで私たちは、メディア業界向けのクラウド型CMS(コンテンツマネジメントシステム)としてGlyphFeeds(グリフィード)と名付けてサービスを開始しました。

GlyphFeedsでは、紙面かデジタルかは関係なく、取材記事や写真、動画などすべてのコンテンツをクラウド上のデータベースに集約して管理でき、編集業務もパソコンやスマホ・タブレットなどの端末と通信環境さえあれば、どこからでも行えます。加えて、これは標準化されたサービスなので、一からシステムを作るよりも構築期間も費用も抑えられます。通常のCMSは構築に2、3年かかるところ、GlyphFeedsでは最短数か月で利用を開始した実績もあります。

当社のコンサルビジネスは、個社ごとの最適解に合わせてシステムをオーダーメイドで開発するケースが多いですが、GlyphFeedsはそうではありません。GlyphFeedsが業界のスタンダードであり続けるために、このサービスそのものを継続的に成長させていくことが重要になります相対的に予算規模の小さい地方や島のメディアも活用することができるので、地域創生にも繋がると考えています

仕事スタイル、大切にしている考え方

GlyphFeedsが業界のスタンダードかつ業界を先導するサービスであり続けるためには、顧客の要求・要件に対して答えていくだけでなく、私たちが未来を見据えて考えることが大事だととらえています。新規ビジネスや新規サービスを考える思考と少し似ているところがあると思っています。過去の取り組みや成果、いま世の中で起きていること、これから起きるであろうことを多角的に捉えながら、新しい技術にも目を光らせて、継続的に機能追加やアーキテクチャのアップデートを行います。今後は、新聞社向けのサービスという位置づけから、よりライフサイクルの一角に入り生活を豊かにするメディア(価値)を生み出せないか。そういったアプリケーションをGlyphFeedsで提供したいと考えています。

以上が、私たちが取り組んだ新聞業界の変革とGlyphFeedsの構築、継続的なサービス改善の取り組みです。フューチャーには今回のようなプロダクト開発とプロダクトを展開するビジネスにもチャレンジできる環境があります。

コンサルティングもプロダクト開発も両方やってみたい方や、難題にワクワクドキドキ取り組みたい人社会的意義の高い事業そのものに関わっていきたい人など、少しでも当てはまるものがあればぜひ一緒に働きましょう!

▼新卒採用はこちらから

▼キャリア採用はこちらから

Twitterでも情報発信しています!