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技術力こそ競争優位の源泉 フューチャーは技術でイノベーションを起こす【インタビューアーカイブ】

齋藤 洋平(SAITO Yohei)
フューチャー株式会社 取締役CTO

イノベーションの息吹を感じる毎日

シリコンバレーというイノベーションの現場で、最先端の技術やビジネスの知見を吸収する――。それが、現在のミッションです。私が客員研究員として駐在しているスタンフォード大学には、いま注目されているAIやロボティクス分野での世界的なスター教授がそろっています。彼らの講義は一番大きな教室を使いますが、立ち見どころか、教授のすぐ真横に座って参加する人がいるほどの大盛況。学会で発表される最新の論文を書いた、その本人がいて、共同研究や、直接ディスカッションができます。卒業生の多くがGoogle、Facebook、Amazonをはじめとしたイノベーションをリードする企業に進んでおり、セミナーや講演会なども頻繁に行われますし、ベンチャーキャピタルやスタートアップ企業と接する機会も非常に多い。まさに、イノベーションの息吹を感じながら、とても有意義な毎日を過ごしています。

いま注目されているAIやディープラーニングといった技術は、画像や音声、言葉を認識するという人間の原始的な機能を、コンピュータで、より正確に実現することを可能にしました。そこから、ビジネスや社会システムのなかでいかに利活用するのかが、次のステージです。フューチャーでも、数々のプロジェクトで最先端の技術をビジネスに応用するトライアルが進められています。たとえば、ある物流企業では、紙の伝票のデータを手入力していたところをAIによって代替したり、あるメーカーで提供した「生産と物流を最適化する需要予測システム」のしくみは、限りなくディープラーニングのメカニズムに近いものです。

こうした時代のトレンドをつかんでいることも大切ですが、一方で、技術の原理原則を知っていることも重要です。フューチャーは創業のときからリアルタイムの技術にこだわってきました。人間の体にたとえるなら、AIは脳、IoTは神経、ロボティクスは筋肉としたら、リアルタイム技術は“血液”のようなもの。生き生きとした血流があってこそ、脳や神経、筋肉が効果的に働けます。この、技術を深いレベルで理解し使いこなすことが私たちの付加価値であり、そこには企業や社会全体を革新へと導いていく力が秘められていると、改めて実感しています。

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優秀な技術者がワクワクできる環境を

いままで培ってきた経験やノウハウを活かし、アカデミックの中から適切な技術を選択し、現実の世界にいかに適用するかがフューチャーのミッションのひとつです。そのために、目利きができるだけの確かな技術力を持ち、新たなビジネスを生み出せるようなイノベーティブなチームであることが必須です。

そこで、大学では最先端のITだけでなく、ビジネスや組織論についても学んでいます。講義で、イノベーションを起こす組織に重要だとされているのは、新たな知識を「探求」していくことと、既存のものと合わせて、その知識を「活用」していくことを両輪で回すことだと聞き、思わず膝を叩きました。私がリーダーを務める技術部隊「Technology Innovation Group(以下TIG)」は、まさにそれを目的として生まれたチームだと言えるからです。

TIGのミッションは大きく分けてふたつ。いま手にしている技術をブラッシュアップし、より使いやすくすることで、顧客やプロジェクトにメリットをもたらすこと。そして、新しい技術や外部の情報を取り込み、探求し、ビジネスに展開していくことです。

私は2001年に新卒でフューチャーに入社し、当時のR&Dチームに所属。そのときから、創業者で技術の責任者をしていた石橋のもとで仕事をしてきました。R&Dといっても研究所にこもるのではなく、プロジェクトに参画し、ビジネスの現場で新しい技術にチャレンジするという、いまのTIGと同じコンセプトのチームです。会社はまだ小さく、石橋に直接「○○という技術の勉強会に参加したい」「海外の○○というカンファレンスに行きたい」などとリクエストして、興味があることにどんどん挑戦させてもらい、のびのびと仕事をしてきました。いまは会社や技術チームも成長し、組織としての技術戦略を定めてはいますが、個々の希望を最大限に受け止めて、一人ひとりの個性とやる気を大切にしています。

技術力こそフューチャーの競争優位性の源泉。優秀な技術者は、ひとりでもまったく新しい世界を創造できる可能性を持っています。そうした価値ある存在一人ひとりが力を発揮できるよう、より大きな裁量を持たせ、やりがいのある仕事やワクワクできる環境をつくることが私の責務です。

いま、意欲のあるメンバーが切磋琢磨し、若手もぐんぐん育っています。たとえば、セキュリティーの脆弱性を解消する新たな技術を開発し、オープンソースで公開して世界1位を獲得したり、IT初心者だったメンバーが技術を駆使して農業分野で新しいビジネスにチャレンジするなど、「探求」と「活用」のいい循環ができていると感じています。

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技術を愛し、技術でイノベーションを起こす

テクノロジーによって高度化された社会は、無味乾燥化するのか、それともより人間らしさが際立っていくのか、どちらなのだろうかと考えています。これまでは効率化や量的な豊かさを目的にIT化が進められてきましたが、次のチャレンジは、質的な豊かさを追求していくこと。うれしいとか、楽しいとか、気が利いているとかが、これからのキーワードになるのではないでしょうか。

近年、新たなイノベーション創出手法として、スタンフォード大学でプロセス化された「デザイン・シンキング」という考え方が力を得て来ています。人の行動や感情、考え方などが発想の起点になるもので、いままでのテクノロジーありきの「プロダクト・アウト」とはまったく逆の発想です。TIG、フューチャーでも、この手法にトライしています。よりお客様や社会に貢献するシステムやビジネスを作り出すためにはどうしたらいいのかと、いろいろな種を探しています。

いまや世界中がリアルタイムにつながり、シリコンバレーでしか手に入らない技術はほぼないと言えます。しかし、やはりここはテクノロジーのメッカ。刺激的で知的興奮があふれる、技術者にとってこのうえなく楽しい場所です。ぜひ私のあとに若手のメンバーを派遣し経験させてあげたいですし、ゆくゆくはオフィスやラボをつくったりと、拠点も持ちたい。情報収集だけにとどまらず、そこからグローバルに価値を発信できるようになりたいなどと、夢は膨らみます。

技術に強みを持ち、ビジネスもわかるフューチャーだからこそ、私たちの前に可能性は無限に広がっています。技術を愛し、技術でイノベーションを起こしたいと思っている仲間たちとともに、これからも新しい価値を生み出していきたいと思います。

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本記事は2016年に実施した採用HPインタビューのアーカイブ記事です。


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