人事のレベルをチェックする「HR成熟度モデル」のご紹介
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人事のレベルをチェックする「HR成熟度モデル」のご紹介

未来報|フューチャー株式会社

みなさん、こんにちは。フューチャーで人事責任者をしている稲垣です。

前回の記事である「プロフェッショナルに選ばれ続けるために必要な3つのこと」は読んでいただけたでしょうか。

この記事では、フューチャーという会社がプロフェッショナルに選ばれ続けるために必要な3つの条件について触れました。そこで今回は、どうやってそれを実現していくのか?について書きたいと思います。

2018年10月に人事責任者となりましたが、HRとは何をすべきか?を考える余裕もなく、1年ほどは重要かつ緊急度の高い問題を順番に片づけることに注力していました。幸いメンバーや周囲の協力もあって順番に課題は片づいていったのですが、それと反比例するように「企業人事って何をするんだろう?」という疑問が大きくなってきました。

当時の私の担当には、給与社保・労務・新卒採用・キャリア採用・教育・ビジネスパートナー管理・プロジェクトアサイン・情報可視化の8チームがありました。各チームのリーダーと一緒に、会社の方向性や求められることに向かって進んでいくと同時に、彼らの今後のキャリアをどう描いていくかを含めて、何か一つの大きな絵を描かないといけない、そうしないとただ闇雲に進むだけでこのままだと疲弊するなと思っていました。

人材ライフサイクルだけでは何かが足りない

HR領域での一つの絵としては、人材ライフサイクルという考え方がメジャーかもしれません。人が縁あって入社して、最初の教育を受け、プロジェクト(現場)に配属されて、成功と失敗を重ねながら成長し、評価を受け報酬が上がり、役割を変えながら責任も増えていき、やがては退職していくという流れ自体はどの企業であっても同じかもしれません。我々も早い段階から人材ライフサイクル毎に目標を設定し、チーム間で協力しながら進めていました。

人材ライフサイクル
フューチャーの人材ライフサイクル

ただ、これだけだと何かが足りないのです。

HRなどコーポレートスタッフ部門の仕事は、大別すると定常業務と戦略的業務に分かれます。定常業務とは、給与社保に代表されるようなルールに基づいて必要なタイミングで必要な業務をミスなく行っていく種類の仕事です。戦略的業務とは、企業の競争力が高まるように、社員やチーム・プロジェクトのパフォーマンスを意図的に向上させていく業務になります。ところが、人材ライフサイクルだと定常業務と戦略的業務を区別して表現出来ないし、優先順位も付けづらいので、今一つしっくり来ないのです。

そのため、こういった言語化できない違和感も含めてチームリーダー達と何度もディスカッションを重ねる中で一つの解決策として編み出したものが、今日ご紹介する「HR成熟度モデル」です。

成熟度モデルとは何か?

HR成熟度モデルは、CMMI®という概念を参考に考えました。CMMI®とは、組織のプロセスの発展段階を成熟度レベルでモデル化したものです(興味があればWebで調べてみてください)。私が品質管理室のリーダーだった時に研究していたもので、フューチャーの品質管理プロセス図を作成して、各プロセスのレベルを上げることで全体のレベルを上げたいと考えて取り組んでいました。当時から一緒に働いているリーダーがHRでも一緒に働いているのですが、彼女からHR版の成熟度モデルを作ってはどうか?という妙案が出て作成へとつながりました。(もちろん、CMMI®の中身とは全く関連性はありません。)

HR成熟度モデルとはいわゆるプロセスアプローチをベースとしたものです。一番抽象度の高いレベルを下図に示します。

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これだけだと抽象度が高すぎてよく分からないと思いますが、実際にはこれよりさらに2段階詳細化したものを作りました。ただし、プロセスだけでは定常業務と戦略的業務を記述することが出来ません。そこで、もうひとつ重要な概念である成熟度のレベルを使って表現します。

作成したモデルでは組織の成熟度を1から5までのレベルに設定しました。

Lv1:目の前の業務に集中している
Lv2:定常業務を滞りなく進めている
Lv3:プロセス課題の解決に向かっている
Lv4:短期的組織課題の解決に向かっている
Lv5:長期的組織課題の解決に向かっている

これを見ると、Lv1は定常業務の比重が高く、視点は限定的で短期的であり、Lv5に近づくにつれて戦略的業務によりフォーカスされ、視点は横断的で長期的になることが分かるでしょうか。

こうやってプロセス図に成熟度レベルを追加すると、構造を立体的に捉えることができるようになります。今自分たちのチーム・組織の成熟度を見ると、例えば採用に関してはLv2なのでLv3を目指そう、とか、育成はLv1だからまずはしっかりLv2まで引き上げよう、といった使い方ができるようになります。

では、もう少し、これらの成熟度レベルを説明します。

HR成熟度モデルのレベル定義

Lv1:目の前の業務に集中している
企業人事はどのチームであれ、それなりに定常業務が多く発生する上に、必ず発生するイレギュラー処理(必ず発生するのであれば、もはやイレギュラーではないですがね・・)や、問い合わせなど、気が付けば1日、1週間、1か月、1年が過ぎていくものだと思います。それぞれのプロセスに重複作業や転記作業があったりするとミスが起きやすく、修正作業で何かと忙しくなるので、通常業務をしっかりこなすだけで精一杯になりますよね。Lv1はそのような状態を指しています。

Lv2:定常業務を滞りなく進めている
Lv1の状態から、プロセスを整備して重複作業をなくしたり、チェックリストを作ってミスを無くしたりなどの業務改善をしていくと工数も減ってイレギュラー処理も減ってくるので、ある程度想定した工数の中で通常業務が滞りなく進められるようになります。ちょっと一息つけますね。

ただ、これはあくまでも通常業務の話なので、そのチームに課された課題や期待に応えられているかは別の問題です。このまま1年、2年と続けていく分には問題ないけど、あるべき未来に近づいているのか分からない、毎日は忙しいけれど成長している実感がない、Lv2はそんな状態です。

Lv3:プロセス課題の解決に向かっている
課題を解決するためには、正しい問いを立てることが鉄則です。Lv3では、会社から各プロセスに求められていることと現状の状態とのギャップが明確であり、そのギャップを埋めるための正しい問いが明確になっており、仮説と検証のサイクルを通じてそのギャップが埋まる、課題解決に向かっている実感がある状態を指します。

課題が無くなること、ギャップが無くなることは永遠にないのですが、それでもLv3まで来ると時間の経過と同時に進化していく実感を得られるので、より視野の広い視点の高い未来を描けるようになってきますね。

Lv4:短期的組織課題の解決に向かっている
組織が大きくなれば、便宜的に人事の中でチームを分けて、それぞれが独立して動けるように進めていくのが一般的だと思います。ただ、サービス対象の社員は分割・独立しているわけではないので、チームの垣根を超えて、社員ひとりひとりに対して適切なサービスを提供する必要があります。

Lv4というのは、社員からの視点に立った時、組織の抱える今後2~3年の短期的課題に対して、各チームの活動と必要なデータが有機的に連携され、蓄積されたデータを分析することで仮説立案と効果検証のサイクルが循環し、解決に向かっている姿を指しています。

Lv5:長期的組織課題の解決に向かっている
Lv5は、Lv4をさらに推し進めて、5年から10年先の組織イメージから逆算して描き出される姿に向けて、課題解決に向かっている姿を指しています。

組織の5年・10年先を予見することは難しいことだと思いますが、個人に着目すれば、20代が30代になることであり、30代が40代になることを指してるわけですから、そう遠い未来ではありません。5年・10年先というのは、個人が自分自身を振り返れば、誰しもが頭に思い描くであろう生々しい課題です。その時間を組織に当てはめて考えると、Lv5に至って初めて企業人事は責務を果たせる、ということかもしれません。

皆さんの組織はいかがですか?

Lv1からLv5になるにつれて、短期から長期、自領域から他領域といったように見るべき範囲や持つべき視点が広がってくる(広げないといけない)のがお分かりいただけたでしょうか。

当然、組織によって歴史の厚みは異なるので、今のレベルが低いからダメということではありません。大事なことは、今の状況を的確に捉え、段階的に対策を打っていくことで時間を味方にし、今日よりも明日、明日よりも明後日、今年よりも来年を確実に良いものにして、いち早く会社の目指すべき姿に向かって期待されたスピード以上で近づいていくことなんだと思います。

では、フューチャーのHRは今どのレベルなのでしょうか・・・?

もちろんLv5です!と言いたいのですが、このモデルを考えながら皆で自己採点していったところ、残念ながらLv2とLv3の間という状況でした。実際には全チームが綺麗に統一したレベルになるというよりは、プロセスによって濃淡があり、すでにLv4を目指す部分もあれば、まだまだLv2かな・・というものもありました。

そのため、今はLv4をイメージしながらLv3を確実にしていく、ということを目指して取り組んでいます。

この活動を通じで良かったと思うことは、リーダー陣の間でかなりディスカッションができたこと、今までの良い取り組みも整理できたこと、これから目指すべきターゲットも見えてきたことだと思います。何より、HRの仕事を段階的にストーリーをもって考えられるようになったのが最大の利点かもしれません。振り返ってみればその過程こそがHR成熟度モデル導入の最大のメリットかもしれませんね。

プロフェッショナルに選ばれ続ける会社であるために、フューチャーのHRが今どんな問題意識をもって取り組んでいるのか、少しでも伝わると良いなと思い、少し難解だったかもしれませんがこの記事を書きました。コンサルタントだけでなく、一緒にHRの成熟度のレベルを上げていく仲間も募集しています。興味を持った方はぜひご連絡ください!


い_稲垣


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