「物流の匠」が挑む業界の未来
こんにちは。Technology Innovation Group(TIG) DXユニット所属の伊藤太斉(たいせい)です。2019年9月に中途でフューチャーへ入社しました。普段はクラウドインフラの技術支援や設計・実装などを行っています。
私が所属しているTIGをはじめとした技術部隊には様々なエンジニアのスペシャリストがいます。一方、ITコンサルティング本部には業界カットで様々なスペシャリストがいます。そこで今回は、これまで一貫して物流に関わってきた物流サービス事業部SCMコンサルティングチームの倉成貴裕さんにインタビューを行いました。
物流にはまるきっかけになったこれまでの歩み
―― これまでのご経歴について教えてください。
一言で表すと、「社会人歴=物流歴」で、何度か転職はしているものの、これまで一貫して物流に関わる仕事に従事しています。大学を卒業後、新卒で物流(倉庫周り)のパッケージを開発・販売する企業に入社しました。ベンチャーで成長真っ只中の企業だったので非常に忙しかったですが、システムと業務をどちらも吸収できたのでとてもいい経験になりました。
次の会社では倉庫周りだけでなく、もう少し広く物流の世界を捉えるために転職をしました。そこでは倉庫の設備であるマテハン機器(マテリアルハンドリング機器:モノの保管や運搬を効率化する機械の一群を指す)などを扱いました。導入のフェーズだと様々な制約を抱えることを感じて、より裁量権を持った経験を積みたいと考えグランドデザインを行うために前職に転職しました。
―― 新卒からずっと物流業界に関わられているんですね。
そうなんです。新卒の時は成長中のベンチャー企業であることにも面白味を感じましたが、それ以上に法律などの制約が比較的少なく、現場のルールに応じて創り上げられる物流の世界の面白さにも気付くことができました。加えて様々な数値に基づいて提案する論理的な世界でもあり、これがパズルを解いていく感覚と同じで、どんどん物流業界にはまっていきましたね。数値的根拠を元にしてファクトベースでお客様の経営層の方々に自信を持って提案できることも面白さの一つです。
フューチャーでの新たなチャレンジ
―― フューチャーに転職されたきっかけはどのような理由だったのでしょうか?
前職にはグランドデザインをやりたいと思い転職しましたが、経営コンサルタントをはじめとするいわゆる超上流工程がメインの会社だと、お客様の元でシステムが稼働したのかどうか分からないままPJを離れることがほとんどでした。「あの時、お客様と描いた構想が正しかったのだろうか」という思いを抱えることが多かったです。ITベンダーで働いていたときには、お客様からの感謝や改善のお声をいただけることが励みの一つでしたが、ゴールを見届けることなく次の案件に行くことに虚しさを感じるようになりました。ゴールが見えないと、システム構築の経験や業務改革の知見も活かせているのか分からなくなり、自分がバリューを発揮できているのだろうかと悩むようになりました。そこで転職を考えるようになったのですが、最終的にはお客様の成功に対して最初から最後まで寄り添うことができ、物流ノウハウも蓄積されていると感じたフューチャーに転職を決めました。
―― フューチャーに入社してみてギャップはありましたか?
大きなギャップはありませんでした。入社前は技術に強い会社という印象があり、それは入社しても変わらずでした。ギャップがなかったのは、カジュアル面談から実際の面接まで何度も社員の方とお話し、ありのままを聞くことができていたからです。 システム構築は堅実に進める必要があり、そのためには一緒にプロジェクトを進めていく人との信頼関係が大切だと考えています。その意味でも一緒に働く人たちの人間性をきちんと理解した状態で入社出来たことはとても良かったと思っています。唯一、社員のスタンスについては入社前の想像と異なる部分がありました。フューチャーでは利益の大きさで案件を受注するのではなく、「面白いか」どうかが受注を決める重要な要素であることには衝撃を受けましたね(笑)。難度の高さや世の中的に大義があるかを意識して働いている社員が多いことも、良い意味でのギャップでした。
―― フューチャーに入ってからの案件はどのような感じでしたか?
最初はR&Dのような研究開発に近い仕事をお客さんとともに行って、実証実験も実施しました。直近だと、倉庫のレイアウトの設計から、業務デザイン、ITデザイン、そして設備デザインまで一通り行い、さらに想定どおりのスループットがでるかを確認し、最後のリリースまで立ち合いました。お客様としても様々な自動化技術を取り入れた挑戦的な倉庫であり、シンボリックなセンターとしての位置づけであったため失敗はできない状況でした。私が参画した時には、倉庫にはすでに導入する機器が決まっていたのですが、倉庫内のデザインを行う過程で設備の設計に綻びを見つけました。通常は見落とされてしまうような人の運用と設備の間にある狭間の作業を再度見直すことができたので、結果として安定稼働を見届けることができました。
あとは、物流DX(Digital Transformation)にも取り組んでいます。先ほどもお話しましたが、フューチャーは一気通貫のプロジェクトポリシーとそこに裏付けされた確かなIT技術力があるので、DXを行うにはこんなにうってつけの会社はないと思います。これまで見えていなかったものや取れていなかった情報をデジタル化し、それが経営やビジネスのデザインに直結するのは使命感に燃えますね。
ほかには、トラックの配車状況や運行情報を詳細にデジタル化することに取り組んでいます。デジタルデータを活用して、より精度の高い配車計画を自動計算したり、荷物の到着までは待ち状態だった物流センターが、データをもとに先回りして作業の準備ができるのです。その結果、コスト削減やリードタイムの短縮が実現することは、経営やビジネスの変革に直結する本当の意味でのDXだと思っています。
―― 一番ここが楽しい、と思えるのはどんなところですか?
お客様の物流情報の分析を行うと毎回違う結果が出るんですよ。それをベースとして業務設計を行いますが、今の技術で完全に自動化できるのか、できたとしてもスピードや品質を満たすのかなどを考えます。その時に、「この機器なら絶対に上手く行く!!」という運用が発見できた時に、パズルのピースがはまったみたいでとても楽しくなります。実際にピースをはめるのには業務・IT・設備それぞれの観点での検討が必要です。これまで付き合ってきた知見者に聞いてみたり、記事を読んだりしてヒントを得ることもあります。仮説に基づく現地/現物での実地検証は、今後の知識のアップデートにもなりますね。
―― 倉成さんがフューチャーで取り組んだ挑戦があれば教えてください。
物流会社だけではなく、各業界にある物流「業務」について横串で担当するチームを新しく発足したことです。物流業務は、それを本業としている企業だけではなく、小売や製造業の中にも存在する領域なので、フューチャーが担当している様々な業界の物流を横串でみたいという気持ちが生まれました。社内では業界ごとに部門は存在しますが、 全くと言っていいほど部門間の垣根がないので、それであれば横断的に関わることも可能だと思いました。私が発案してから数ヶ月以内には物流横串チームが発足しました。そのスピード感にかなり驚かされ、当社の魅力を再認識しました。
「物流の匠」の今後の野望
―― 今後の野望はありますか?
物流業界は労働集約産業であり、作業者がいないと成り立たない人件費がかかる業界の代表格です。その一方で、労働人口は減少し、不人気もあいまって人が採用しにくい状況でもあります。厳しい状況下であるがゆえに業界にはイノベーションが起きようとしています。物流のイノベーションに大きく貢献した企業はフューチャーだと言われたいと思っています。そのためにまずは社会インフラとしての物流のあるべき姿を確立させ、将来的には関わったお客様にとって自慢となるような「物流力」を作り上げ、更には、お客様を繋いでいくことで世の中の物流を変えられるところまでいきたいと思っています。このビジョンを実現すれば、お客様から感謝されることになるので、自分自身の一番のモチベーションにもつながってきますね。
―― どのような人と一緒に働きたいですか。
フューチャーにフィットしている人は、指示待ちや淡々と仕事をするのではなく、自分から声をあげて実行したり積極的に周りを巻き込んでいける人だと思います。
これを前提として、1つは「やりたいことがある人」。好きこそものの上手なれではないですが苦労はどこにいってもつきものですので、余りある情熱がある人が良いです。
2つめは「自己開示ができる人」。フューチャーは、チームワークで価値を創出する文化が醸成されているので、個人の不得意な領域には割と寛容です。その分、得意領域で価値を発揮し、素直に自分の強みや弱みを語れる人が良いですね。
最後は「難題が好きな人」です。会社の利益やリスクは誰しも考えると思いますが、誰もやったことのない領域は飛び込むのにとても勇気がいります。蛮勇とは違うのでフューチャーもリスクは考えますが、なぜか難易度が高ければ高いほどワクワクする人が多い(笑)。難しいことに対して、しり込みするより興味や挑戦したい気持ちが勝ってしまう方にはぴったりです。ぜひ一緒に働きましょう!!
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私が所属するプロジェクトではなかなか出会えないスキルを持った倉成さんの話を聞くことができ、改めてフューチャーのコンサルティングの幅の広さを感じることができました。
様々な分野を幅広く知っているということも素晴らしいですが、1つの業界をとことん深く知る姿もかっこいいなと感じることができる時間でした。私も技術者としてまだ未熟者ですが、多方向からの視点を持つことに加え、一つの分野を深掘りすることも考えながらフューチャーでキャリアを作っていきたいと思いました。